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homerhymester blog20070419post

• 『悪魔のいけにえ』は基礎教養として観てて当たり前、

  2007.4.19　00:18:00

  Utamaru

  いま観直すべきはむしろ、
  『悪魔の沼』の方だーっ！
  というような論旨と勢いで
  このときのトークショーは
  https://starplayers.jp/rhymester-blog/2007/03/21/
  なんとか乗りきったわけですが、
  その『沼』の
  新装版DVDが早くも発売
  
  実際、過去の評論とかだと
  前作『いけにえ』との比較で
  なにかと失敗作扱いされがちだった『沼』ですけど、
  いやいやこれはこれで、途轍もない映画だよ！
  『いけにえ』の途中、レザーフェイスが
  「あーもうなんだって今日に限って
  こんな一度に人が家に来るんだろ……」
  と（でも言いたげな趣で）窓辺に座り、
  ひとりモヤモヤする名シーンがありますが、
  言ってみれば『沼』は、
  ああいう「頭のおかしい人の日常」を、
  「頭のおかしい人の頭の中身」そのものとして
  全編にわたって描いている感じというか。
  
  例えば、
  非常に強く印象に残る病的な色彩もさることながら、
  音響設計がまた、
  ちょっと大変なことになっていて。
  トビー・フーパー自らによる電子ノイズ音、
  ラジオから流れるカントリーミュージック、
  上の部屋に監禁された女の悲鳴、
  隣の部屋のカップルのあえぎ声、
  等々が、
  時として全部ごっちゃになって鳴り響く！
  主人公である独り言の多い殺人鬼オヤジは
  部屋をウロウロして（電気を点けたり消したりして）
  苛立ちを募らせるばかりなんだけど、
  我々もまた、その脳内煮詰まり感を
  半強制的に共有させられてしまうという……
  あと、地味ながら好きなのはこのシーン
  
  オヤジが鼻歌をうたいながら、
  なんかチマチマとメモを書きつけたり
  （たぶん意味はない）
  メガネを取っ換え引っ換えしながら
  雑誌を眺めたり（たぶん読んでない）、
  というだけのノンビリした場面なんだけど……
  あの……オヤジさぁ……
  鼻歌がヘタ過ぎて、
  メロディの輪郭が全然わかんなくて、
  なんかもんのすごーく、
  イライラするんですけどっ！
  明らかに嫌がらせ演出！
  そして、
  そうした我々のイライラにシンクロするかのように、
  建物の外では、
  檻の中で飼われていたおサルさんが、
  まったく原因不明の死を遂げるのだった……
  って、文字にしても
  ほとんど何も伝わらなそうなのが素晴らしい！
  
  あと、
  特典も異常に豊富な今回のDVD、
  なかでも目玉は「TV放映版日本語吹替ヴァージョン」。
  なにが画期的って、
  せっかく本編がリマスタリングで美麗になってるのに、
  放映当時の感じを再現するためということで、
  わざわざ超ダーティな画質のまま収録してあるのだ！
  非常にコンバットREC的発想！
  しかもこれがまた、
  良い塩梅でさらに非現実的な色調になってて、
  むしろこの作品にはよりマッチしてるかも？
  という気がしてくるほど。
  これぞ世界がうらやむ粋なサービス！
  ちなみに『いけにえ』の方の新装版DVDは
  6月発売とのこと。
  良い子はどっちも買おう！
  http://www.akuike.com/

  （宇多丸）

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