homerhymester blog20081025post
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ライミング
2008.10.25 07:36:00
えー、今日はREC日記を離れて
めずらしくまじめなことを
つれづれなるままに書いてみようと思います。
「ライミング」に関して最近思うこと。
ちょっとむつかしーかな。
同業者向けかもしれん。
まー、多分長いしカタイし
興味ない人はとばしてちょうだい。
えー、
人に言われたり、ネットで知ったり、取材で聞いたり、
おれが自分の音楽をやってく上で
とっても勇気づけられる事なんですけど
みんなよくライミングをチェックしてくれてるなーと思う。
具体的に言うと、
「この曲の、ココの韻の踏み方ヤバいっすね」
みたいな話なんだけど、
まさにおれが20年間心血注いで模索してきたとこで
それに関する考察をひとつ。
思えば「RHYME」だとか「韻を踏む」なんて言葉
ずいぶん定着したなー。
そもそも英語詞のなかでは童謡から擦り込まれる位
当たり前の表現形態なので、
イングリッシュスピーキングピーポーの皆様には
別段新鮮みも感じられない行為なのだと思いますが
詩の中ででリズムを作る際、五七調(文字数=音節数)に頼ってきた
オレらのような言語形態の民族にとっては
ちょっとむつかしく、不自然、だからこその新鮮さがあって
そもそもJ-POPの歴史の中でも様々な歌い手さん達が
挑戦してきた課題であって、
こと日本のHIP HOPに関して言うと
いとうせいこうさんだとか近田春男さんだとか
高木完さんとかが提唱し始めて、
おれはとくにB-FRESHのCAKE-Kさんとか
レゲエだけどランキンさんとか
MC-SHIRO(宇多さんです)にもっとも影響をうけたくちで…
なんて話はここではよし。
「人はなぜに韻を踏むのか?」
それは
「リズムを産み出すためである」
これっす。
この話をしたい。
日本のヒップホップ、オレらの世代は、自画自賛になるけど
「日本語で韻を踏みながらラップする基本形」
を作り上げたと自負してます。
「〜ない!、〜したい!」みたいな脚韻1音節からはじめて
2音節、3音節、果てはまるまる1センテンスごとまで
ライムフェチも相当産み出しました。
まー、おれもその中の一人なんだけど
いつの時代も頭の中にあるのは
「人はなぜに韻を踏むのか?」
それは
「リズムを産み出すためである」
やっぱこれっす。極論すると
「リズムが産まれてるなら、ライミングなんか必要ない!」
い、言ってしまった…
んで、以下は誤解の無いようにするブブン。
最近とみに思うのですが
「ラップ」というものはいわゆる「うた」のなかで
メロディーの要素が薄く(ここ重要。「無く」じゃないよ)
リズムの要素の強い表現形態なんだなーと。
たとえば、楽器で言うとある種の打楽器にも
一定のピッチ調整があるような感じです。
ちなみに上手いラッパーは大抵カラオケも上手い。
脱線した。
その「メロディー」の要素の薄さを補うのが
「ライミングによるリズム強化」であったり、
「ライムのための意味的逸脱(事故含む)やひろがり」
とか、
「歌詞長い→描画能力高し!」
「日常会話に近い→ダイレクト!」
「超パーソナルな詩的世界→えっ、そんなことがウタになっちゃうの?」
とかなのかなーと。
おー、すばらしい。
でもこれって裏を返すとすべて弱点にもなります。
たとえば
「ライミングのためのメッセージの欠落、犠牲」
「何言ってんの?」
「みなまで言うな」
「おまえの地元の友達のコトなど知るか!」
「うたおうよ」
などです。
わははは!
たまに「最近あのラッパーは韻がゆるくなった」
なんてことも聞いたりしますが、
まー、おれも言われたりもするけど
もしかして、心の中から生まれでてきたことばの原型を
優先してるからかもしんないっす。
またまたぶっちゃけると、
「ライミングはあくまでテクニック」
ということです。
技巧派でないアーティストのつぶやいたラインが
妙に心を打つのは
そういうことかもしらんといつも自戒します。
最近になってやっと出来てきた事ですが
やっぱ「ほんとに言いたいこと」があるときはそれを犠牲にしない、
エモーション乗っけられる表現を優先しようと思います。
その上でやっぱ韻を踏んでグルーヴを造り出していくことは
やっぱすげー楽しいです!
韻がキまると超嬉しい。そこを評価されたりすると
「そ、そうかなあ…わ、わかっちゃった?グフフ』
的な喜びがあります。
んー、
なんでこんなことを書いてるかと言えば
やっぱ後輩達のためか。
以上のようなことをふまえた上で
もしくは本能的に悟った上で
ほんと好き勝手やらかして欲しい!
今日本のヒップホップは
もっと強くならなければいけない時期に来ていると思うから
もっと強い表現をモノにしなければいけなくなってるからと
思うからです。
本場の「ラップ」に負けない表現、
んー、それはもう出来つつあるかも。
日本の「うた」の歴史に負けない表現を。
何らかの形で、もっともっと「オモシロく」!
だって、
「カッコいい」まま勝ち上がらないと意味なんか無いからな!
これ以上聞きたい若いMCたちは
飲みにいった時におれに聞いてみるといい。
同じこと何回も言ってうざいよ。
以上、自戒も込めて。
「んなこたぁとっくにわかっとるわい!」という同業者のみなさま
失礼致しました。
それより、
まちがえて最後まで読んでしまった一般人のみなさま
おつかれさまでした。
もうこういうの当分やんないんで
安心してください。
かしこ。
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このBLOGについて
【管理:スタープレイヤーズ】ライムスターメンバー、スタッフが書き込みます。
2018年10月に旧ライムスターブログ、11月にマボロシブログ『マボロシ 坂間大介 Rec日記』を統合し、全ての時代のライムスターブログがここに集まりました。
RHYMESTER(ライムスター)
1989年結成。宇多丸(ラッパー)、Mummy-D(ラッパー/プロデューサー/またグループのトータルディレクションを担う *作編曲家としての名義はMr. Drunk)、DJ JIN(DJ/プロデューサー)からなるヒップホップ・グループ。自他共に認める「キング・オブ・ステージ」。フィジカルとエモーションに訴えかけるパフォーマンスと、当意即妙なトークによって繰り広げられるライブに定評がある。1980年代後半、まだヒップホップが広く一般に認知されるはるか前より「日本語でラップをすること」の可能性と方法論を模索。並行して精力的なライブ活動を展開することによってジャパニーズヒップホップシーンを開拓/牽引してきた。近年はグループとしての活動に加え、各メンバーがラジオパーソナリティーや役者など活躍の場を拡大。結成30周年を迎えた2019年にはアニバーサリー企画としてグループ史上最大規模の47都道府県48公演に及ぶ全国ツアーを敢行、成功へと導いた。
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