homerhymester blog20061112
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ただしカメラ回ってねぇ国で
2006.11.12 06:17:00
例えば映画『ホテル・ルワンダ』(04年)は、
この、つい十数年前に起こった史上稀に見る非人道的事件
——国を挙げての民族大虐殺——について、
私を含め、リアルタイムでは全く無知だったり無関心だったりした世界の人々に、
改めて目を向けさせる機会を作ったという意味では
もちろん最高に意義深い作品だったろうし、
実は日本ではお蔵入りしかけてた、なんていうのも、
ホントにとんでもないことだ!と私も思います。
ただ、そういう次元の話とは別に、
私がどうしても気になったのは、
映画内の「物語」が終わった時点で、
あたかも事態そのものがなんとか「解決した」
ようにも見えてしまうところでした。
この主人公たちは、海外へも移住出来る明らかに恵まれた立場なので
「ハッピーエンド」を迎えることも出来たけど、
実際にはその後も、
的外れかつ無責任な「国際的人道支援」のせいで
難民キャンプにまで組織的虐殺は持ち越されたし、
生き残った人々とかつての殺人者たちが
結局は再び隣人として共存してゆかねばならないという
(当然そこには報復という問題も生じる)、
過酷にもほどがある現実が、かの国には残されたわけです。
せめてエンドクレジットで、
そういう、観客を「安易に安心させない」情報を補足することも出来たろうに……
と言うか、ホアキン・フェニックスやニック・ノルティにわざわざ
あんな自嘲的セリフをしゃべらせてるくらいなら、
ぜひそうするべきだったと思うのですが。
その意味で、『ホテル・ルワンダ』に“感動”した人は、
しかるのち必ず、
名著『ジェノサイドの丘』(WAVE出版)
http://www.excite.co.jp/book/product/ASIN_4872901584
http://www.excite.co.jp/book/product/ASIN_4872901592
で、さらに理解を深めておくこと!
……などということをいきなり書き出したのは、
『終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ』(集英社新書)
を読んだからなのですが。
「民族浄化」という強烈なフレーズのもと、
ミロシェビッチ大統領=セルビア人側が絶対的な悪玉として世界に認識されていったのは、
何よりも、国際世論を左右するビジネスとしての情報戦に敗れたからだ、
というところまでは、数年前話題になった
『ドキュメント 戦争広告代理店——情報操作とボスニア紛争』(講談社)
(『遺跡』のなかに絶対あるはずなんだけど発見出来ず……買った意味ナシ!)
で知ってるつもりだったんですけど……
姿勢として本書で批判されている通り、
そういうマクロな構図に気を取られるばかりで、
現実にいまもそこで暮らし、苦しんでいる人間がいるということには、
自分もあまり思いが至ってなかったなと。
よく考えてみりゃルワンダ同様、
特に内戦的な紛争では、大きな騒ぎが収まったとしても、
それがイコール事態の本質的な解決にはならないなんてのは当然なんだよな。
この場合、
いったん世界中から「絶対的な悪玉」というレッテルを貼られたセルビア人
(当然、非人道的行為とは無関係な大多数の人々を含む)は、
誰の助けも受けられないどころか、その窮状をろくに報道もされないまま、
今度はアルバニア人勢力からの「民族浄化」の恐怖にさらされながら、
それでもそこで暮らしてゆくか、難民となるしかないという……
また本書では、
スーザン・ソンタグも支持した99年のNATO空爆の犯罪性も指摘されています
(関係ないけど、マイケル・ムーアも時々『アフガン空爆はアリだった』
みたいなことをわりと平気で言うのが、なんだかなぁと)。
これは、『グレイゾーン』ではないけど、
我々がいかに物事を安易に単純化することで
自分たちを「安心」させようとしてしまいがちか、ということに対する、
現場からの警告でもあるのです。ちなみに、
今年6月にモンテネグロは分離独立したんですけど、
スポーツの対戦国としてぐらいでしか興味を持たれないここ日本では、
まぁ要するに全てはどうでもいい話、なんでしょうな……。(宇多丸)
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【管理:スタープレイヤーズ】ライムスターメンバー、スタッフが書き込みます。
2018年10月に旧ライムスターブログ、11月にマボロシブログ『マボロシ 坂間大介 Rec日記』を統合し、全ての時代のライムスターブログがここに集まりました。
RHYMESTER(ライムスター)
1989年結成。宇多丸(ラッパー)、Mummy-D(ラッパー/プロデューサー/またグループのトータルディレクションを担う *作編曲家としての名義はMr. Drunk)、DJ JIN(DJ/プロデューサー)からなるヒップホップ・グループ。自他共に認める「キング・オブ・ステージ」。フィジカルとエモーションに訴えかけるパフォーマンスと、当意即妙なトークによって繰り広げられるライブに定評がある。1980年代後半、まだヒップホップが広く一般に認知されるはるか前より「日本語でラップをすること」の可能性と方法論を模索。並行して精力的なライブ活動を展開することによってジャパニーズヒップホップシーンを開拓/牽引してきた。近年はグループとしての活動に加え、各メンバーがラジオパーソナリティーや役者など活躍の場を拡大。結成30周年を迎えた2019年にはアニバーサリー企画としてグループ史上最大規模の47都道府県48公演に及ぶ全国ツアーを敢行、成功へと導いた。
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