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homerhymester blog20060626

• 「山守さん……弾はまだ残っとるがよう……」

  2006.6.26　06:04:00

  Utamaru

  別に最近出た本ではないんだけど、
  『仁義なき戦い』などの脚本家として知られる
  故・笠原和夫のインタビュー本
  『昭和の劇』（太田出版）
  http://www.amazon.co.jp/gp/product/487233695X/503-4092350-4176768?v=glance&n=465392
  
  が滅法面白くて、
  かなり分厚いのに持ち歩いて読み進めています。
  映画制作にまつわるエピソードもそりゃ楽しいんだけど
  （しかしまぁ、いかに監督たちの無理解・無能によって
  ホンの意図が台無しにされたか、というような話が多いね）、
  それ以上に、その膨大な取材過程で得た
  様々なジャンルに関する知見が興味深過ぎる！

  その流れで、氏が脚本を手掛けた映画、
  なかでも目下私が最も勉強したいあたりでもある
  近代日本戦記物を集中消化中。
  まずは『大日本帝国』（82年）
  http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0000TCN8I/503-4092350-4176768?v=glance&n=561958
  
  『昭和の劇』でもボヤかれているように、
  確かに公開当時は、主に表面的なイメージからでしょう、
  「反動的な映画」として扱われることが多かったような記憶が。
  とんでもない、一体どこ見てんだ?!
  いや確かに、舛田利雄の演出は
  どうしようもなく大時代的ではあるんだけど……
  （笠原和夫もそこには繰り返し苦言を呈している）
  少なくとも脚本的には、
  件の『太陽』
  （/rhymester/blog/2006-06-12参照）
  とはある意味対照的、
  全ての要素が結局はその一点に集約されてゆくかの如く、
  かなりストレートに天皇制と戦争責任というテーマに切り込んだ作品なのは
  明らかだと思います
  （ただし、登場人物の台詞や行動自体は時に逆説的に描かれてたりもしていて、
  要はそういう議論を嫌う観客向けに確信犯的な“誤読”の余地を残しておくあたり、
  流石は海千山千と言うか）。
  （追記：あ、これで『日本アカデミー賞優秀脚本賞』獲ってるんだ……
  分かっててあげてんのか、それとも？）

  ちなみに
  後に控える『二百三高地』や『あゝ決戦航空隊』もそうだし、
  そもそも戦記物ってそういうジャンルなんだろうけど、
  とにかくどれもやたらと長い（3時間超え余裕！）のがちょっとね……大変。

  （宇多丸）

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