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homerhymester blog20060712

• 『2000人の狂人』と『2001人の狂宴』

  2006.7.12　05:48:00

  Utamaru

  のぺーっと明るい陽光の下、
  人々がヘラヘラと笑い、
  あまつさえ軽快な音楽まで流されるなか、
  どこまでも即物的に、チープに映し出される残酷描写……
  
  
  言わば「悪質なジョークとしての惨劇」を、
  （それこそが世界というものに対する
  より誠実なアプローチだと主張するが如く）
  明らかに確信犯的に、
  しかし同時に、
  全く何も考えていないようにも見える無造作さ、
  脱力感とともに表現しているという点で、
  64年というその製作時期を考えれば本当に信じられないほど、
  『2000人の狂人』は今もって圧倒的に、「新しい」！
  http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005F5WZ/250-4471321-7337012?v=glance&n=561958
  
  こういう奇跡的な作品に出会うとつい
  「なんだか中原昌也さん（祝芥川賞候補！）の小説みたいだなぁ」
  と感じてしまうのは私だけか
  （順番から言えばもちろん逆の話なんだろうが）。

  で、そのリメイク版
  http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000FHVUUM/250-4471321-7337012?v=glance&n=561958
  
  わお、18禁だよ
  
  南北戦争の怨念が今も残るアメリカの超ド田舎で……
  という基本設定がより丁寧に語られていたりとか、
  「悪質なジョーク」が本質的に知的なもの
  （言ってみれば『サウスパーク』的な）になっていたりとか、
  そういう意味では当然のように『2000』よりは
  グッと「普通のスラッシャー映画」な体裁ではあるんだけど、
  これはこれで後代の作り手に出来ることをキッチリやった結果というか、
  ジャンルへの深い理解と愛が伝わってきてとても良かった。
  最初の方、「地元少年とのギター連弾き」
  
  って『脱出』
  （/rhymester/blog/2006-04-04参照）
  みたいだと思ってたら、
  
  先回りするかのように台詞で『脱出』に言及
  （って『踊る大捜査線』かよ！という突っ込みが頭をよぎった途端、
  急にちょっと嫌になってきたディティールですが）。
  後は『食人族』とか……ラストは『悪魔の首飾り』？
  製作のイーライ・ロス
  （/rhymester/blog/2006-03-17-1
  /rhymester/blog/2006-05-14参照）
  が、『キャビン・フィーバー』で自ら演じていた「グリム」の
  前日譚的に一瞬登場するのも軽く嬉しくなるあたり
  （そのきっかけとなる突然の動物轢死！も『キャビン〜』っぽいし）。
  
  いま最も間違いない男の一人ですね！

  （宇多丸）

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